しぶとい「チョコ停」の原因を究明する「TargetWatcher」

「TargetWatcher」は、生産ラインや製造機械で発生するトラブルに対策するためのカメラシステムです。トラブルの原因や兆候をカメラで撮影し、動画ファイルに保存することで、トラブルの原因究明と再発防止(トラブルシューティング)を実現します。

トラブル対策の第一歩は原因究明、原因究明のポイントはトラブルを観察すること。しかし従来は、この基本的なことがなかなか実践できませんでした。トラブルの原因や兆候が「いつどこで現れるかわからない」性質を持っているので、その観察は必ずしも簡単ではなかったからです。 ものづくりの現場では、トラブルシューティングのためにいろいろな取り組みがなされてきました。それらの中にはカメラシステム(高速度カメラ、防犯カメラ、家庭用ビデオカメラ、ドライブレコーダなど)を活用しようとする取り組みもありました。しかしこれらは、もともとトラブルシューティングを目的として作られた製品ではありません。そのため多大な費用と手間をかけたにもかかわらず、期待した効果が得られないことも少なくありませんでした。

このような状況を打開するために生まれたのが「TargetWatcher」です。トラブルシューティングを目的として企画・設計されたカメラシステムである「TargetWatcher」は、トラブルを粘り強く追跡して追い詰めていく「探偵」に求められる機能と特長を備えています。

生産ラインや製造機械で発生するトラブルのうち、現場レベルで復旧させることができる軽微なものは「チョコ停」、チョコ停よりも重大なトラブルは「ドカ停」と呼ばれています。チョコ停はドカ停に比べて簡単に復旧することができるため、あまり深刻にとらえられず、根本的な防止策が講じられないことが少なくありません。しかしながら発生頻度の高いチョコ停は、1回あたりの損失こそ小さいものの、長い目で見るとドカ停以上に大きな損失を生んでいるものです。工場全体で発生するチョコ停の影響をていねいに評価したら、毎年1,000万円以上の損失を生んでいたというケースもあります。「TargetWatcher」は、このような「チョコ停」を根絶するための秘密兵器になります。

「TargetWatcher」の仕組み

ハードウェアとしての「TaregtWatcher」は、カメラや周辺機器をいくつか接続した普通のパソコンにすぎません。特徴的なのは、パソコンにセットアップされているソフトウェアです。このソフトウェアの動作を見ていきましょう。


(クリックして拡大)

「TaregtWatcher」は、起動するとすぐ「フレームメモリ」という大容量のメモリを作ります。そしてカメラから入力されてくる連続的な映像を、時間とともに変化する多数の静止画(フレーム)に分解し、フレームメモリに流し込んでいきます。フレームメモリがいっぱいになったら、古いフレームから順に捨てていきます。このようなフレームメモリの動作を、図ではベルトコンベアにたとえて表記しました。

「TaregtWatcher」はフレームメモリのおかげで、限られた時間ですが過去の映像を保持することができます。しかしフレームメモリの内容はパソコンの電源を切ると消えてしまうので、フレームメモリだけでは入力された映像を残すことができません。そこで「TaregtWatcher」は、フレームメモリに格納されているフレームを素材として動画ファイルを作成する「レコーダ」というソフトウェアの部品を作り、ファイルとして映像を残すようにしています。「TargetWatcher」の内部では、いくつかのレコーダがフレームメモリの前にいて、必要なフレームを拾ってつなぎ合わせ、それぞれ個別に動画ファイルを作っていきます。このようなレコーダの動作を、図では流しそうめんや回転ずしを待つ人にたとえて表記しました。

「TaregtWatcher」では、フレームの選択方法・加工方法・連結方法の異なる複数のレコーダを同時に動かすことができます。これを「マルチレコーディング」(特許取得済み)と呼びます。マルチレコーディングのおかげで、「TargetWatcher」は1セットで同時に何役もの撮影記録を行うことができます。これは見逃しをなくすことや、多様なトラブルへの対応に役立ちます。また必要な時にしかファイルを作らない動作は、数ヶ月もの長期間にわたる連続稼働を可能にし、ごくたまにしか発生しないトラブルへの対応に役立ちます。

「TargetWatcher」の特長

「TargetWatcher」は、ものづくり現場でのトラブルシューティングを強力にサポートする多くの特長を持っています。
特長 説明
遡及記録 時間をさかのぼって映像を記録。いつ現れるかわからないトラブルの原因や兆候を記録・観察することができます。
多カメラ撮影 3台以上のカメラでの同時撮影が可能。どこに現れるかわからない現象に対しても死角のない撮影記録ができます。
高速記録 本体パソコンは5,000フレーム/秒以上の映像記録能力。複数の高速カメラを接続してもフレーム落ちの少ない撮影記録ができます。
マルチレコーディング 1セットのTargetWatcherで、同時に複数の記録方法を使うことができます。普段は低解像度で連続撮影、トラブル発生時には高解像度で高速撮影といったことも自由自在です。
各種のカメラに対応 多彩なカメラに対応する汎用カメラインタフェースを搭載。状況・目的に応じて最適なカメラを選ぶことができます。
高速カメラ 1,000フレーム/秒以上の高速カメラにも対応。ものの速い動きもしっかりとらえ、わずか一瞬の現象も見逃しません。
小型カメラ 直径5mm以下の内視鏡型カメラにも対応。機械や装置の内部にカメラを取り付け、狭い場所で発生する現象もとらえることができます。
Ethernetカメラ ケーブルを50m以上延ばすことができるEthernet接続のカメラに対応。離れた場所で発生する現象もとらえ、生産ライン全体の撮影・記録もできます。
その他のカメラ 赤外線カメラ、サーモグラフィ、TOFカメラ、防爆カメラなど、多くのカメラが使えます。
豊富なトリガに対応 トラブルが発生したことをTargetWatcherに知らせるためのトリガを豊富に用意。状況・目的に応じて自由に選ぶことができます。
信号入力トリガ 制御盤からの警報信号や、センサからの出力信号など、外部からの電気信号をトリガとして利用することができます。
映像トリガ 警告灯の点灯、表示パネルのエラー表示、物体の動きなど、カメラに写る映像の変化をトリガとして利用することができます。
音声トリガ 機械からの異音や警報音、物体の落下音、人の声など、音や声をトリガとして利用することができます。
PLCトリガ 機械装置に組み込まれたPLCと通信してレジスタを読み出し、トリガとして利用することができます。
その他のトリガ タイマを使ったトリガや、複数のトリガの組み合わせもトリガとして利用することができます。
トリガ連携機能 2セット以上のTargetWatcherを連動させ、高速・多カメラでの撮影を実現します。10台以上の高速カメラを使った同時撮影も可能です。
低価格 すべてのハードウェアを市販の汎用品で構成。高いコストパフォーマンスと使い慣れた操作感を約束します。修理が必要になっても最小限のご負担ですみます。

「TargetWatcher」活用例

「TargetWatcher」は日本中のいろいろな工場で、生産ラインや製造機械で偶発的に発生する異常動作、いわゆる「チョコ停」の原因究明に役立っています。

(エアコン組み立て)

(電気部品プレス)

(印刷スタッカ)

(コンプレッサ組み立て)

(製本機紙送り)

(ビス締め)
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